※:画像は「【Vエロゲ声優チャレンジ】エロゲ主人公に、俺はなる!【#Vエロゲ布教】」より引用
#Vエロゲ布教。
業界全体の不況が知られるようになったエロゲー業界を、
YouTubeの規約故に少し間違えば生殺与奪さえ失いかねない
VTuberたちが盛り上げようという、
配信者が全身全霊を込めた企画です。
その第2段として10月29日に配信された「【Vエロゲ声優チャレンジ】エロゲ主人公に、俺はなる!」。
これが素晴らしい感動を視聴者に与えてくれました。
見どころ満載の配信だったので、記事にまとめました。
まずはエロゲーを知っておこう
さて、まずは予備知識としてエロゲーついて簡単にまとめました。
ご存知の方は次の見出しからお読みいただけますと幸いです。
エロゲーは、18歳未満のプレイが制限されるゲーム作品の内、性的な描写を主な制限理由とされるものを指します。
かつての成人指定映画やAVのゲーム版と考えればほぼ正解です。
R-18目的のユーザーが買い支えていたため、
ゲームとしてはある程度の売上が見込め、
更に性的な要素以外でも年齢制限があるため強い表現を入れ込めるという媒体特有の強みがあります。
そのため、登場時点から様々な尖った要素を持ったゲームが複数流通、
現在のエンターテインメント業界を盛り上げているクリエイターも多数排出するジャンルとなりました。
現在では複合的な要因から売上が非常に低迷しており、
大手メーカーの倒産、エロゲー市場からの撤退なども目立ちます。
VTuberがエロゲーを布教するという行為のリスクとは?
続いて、VTuberについても知っておきましょう。
こちらもご存じの方は次の見出しまで飛ばすことをおすすめいたします。
VTuberとは、バーチャルYouTuberの略称です。
文字通り、仮想(バーチャル)の存在と称して活動するYouTuberを指します。
VTuberとYouTuberを分ける一番大きな違いとして、
その姿が挙げられるでしょう。
アニメのような見た目のイラストやゲームに出てくるような3Dの姿が、
彼ら彼女らの本来の姿です。
逆にそれ以外の違いはあまりなく、
様々なスタイルを駆使したVTuberが存在しています。
例えば今回紹介する動画に登場するたみーとみあぞーは、
それぞれ声優の民安ともえ、成瀬未亜のVTuberとしての姿だと明言されています。
仮想の存在ではなく、仮想の姿をしてふたりはVTuberに分類されるようになりました。
今回の企画も、この2人がいなければ成立しなかったでしょう。
VTuberの主な動画活動は、YouTubeにて行われます。
他の動画配信サイトなどを駆使するVTuberも多いですが、
生活の糧となる収益源はYouTubeがメインとなります。
そのため、YouTubeの規約に大きく縛られるという問題も抱えています。
例えば成人向け要素はYouTubeでは禁止とされているため、
成人向け要素を肝とするエロゲーは本来扱えません。
今回の企画は、一歩間違えればVTuberとしての活動が停止しかねない、
命がけの企画と言えます。
「#Vエロゲ布教」の基礎知識
今回の企画「#Vエロゲ布教」は、VTuberとしてのリスクを背負いながらもエロゲー布教を目指す2人のVTuberによって仕掛けられました。
前述のリスクを理解してなおエロゲーを盛り上げるために好きな作品の体験版を実況配信し、
正式にメーカーからプロモーションの案件を獲得した「さくらみこ」。
女性遍歴などのセンシティブな話題にも事欠かず、
エロゲーの黄金期とも言える2000年代初頭の流れを知る農業系VTuber「舞元啓介」。
第1段はふたりの好きな作品のオープニングを配信し紹介する「【#Vエロゲ布教】師匠と私的エロゲOPランキングで布教配信」でした。
豪華メンバーが送る第2段「【Vエロゲ声優チャレンジ】エロゲ主人公に、俺はなる!【#Vエロゲ布教】」
今回の企画は「#Vエロゲ布教」の第2段です。
前述のさくらみこ・舞元啓介に加え、
VTuberアンジョーと共に「MonsterZ MATE」として毎月楽曲を公開する傍ら、
ラジオ形式の配信にてAV女優談義などを行い、
舞元啓介とのエロゲー談義にも花を咲かせたコーサカ
エロゲー、一般向け問わず声優として活躍し(一部名義変更は存在)、
この企画初となる業界側の人間としての側面も持つVTuber「たみー」と「みあぞー」を迎え、
各出演者(ヒロイン役として参加したみあぞー除く4人)の
思い描くシチュエーションをボイスドラマ風の朗読で実現するという企画です。
取り上げる作品に話題が集中した第1段とは異なり、
好きな作品、ヒロイン、シチュエーションを元にしたフリートークと、
各VTuberの個性が出る朗読パートを楽しんでエロゲーに興味を持ってもらうというバラエティ豊かな構成……を目指したものと思われます。
しかし、実際にはより濃く、魅力的な配信に変質しました。
前半戦・濃密なエロゲ語り
まず、好きなエロゲーを語るという最初の段階で一気に濃密なトークが展開されます。
トップバッターを勤めたコーサカは、自身が好きなエロゲー3本の内1本、
「sonw」(スタジオメビウス)を語り始めました。
エロゲーというもの自体へ自身が持っていた邪な気持ちや、
作品の周辺事情、
更に当時の業界全体にまで丁寧に言及した語りは、
みやぞーのアシストもあり白熱。
10分以上という長尺ながら捨てるところのないものとなりました。
ここで好きな作品を語る企画は3本から1本へ変更。
深くしっかり語る流れとなります。
続くさくらみこは自身が少しゲスな興味からエロゲーに入ったという自分の経験から語り始め、
はまり込む過程と絡め「Clover Day’s」や「Clover Heart’s」(ALcot)、「ノラと皇女と野良猫ハート」(HARUKAZE)などの思い入れの強い作品を紹介。
途中、自分がここ最近(数年)でエロゲーに触れ始めたばかりであり、他のメンバーがリアルタイムで名作に触れられたことを羨むような発言も見られたのは印象的でした。
続いては業界の中の人でもあるたみーの語り。
自分の出演作か否かを無視し、
自分の性癖を開拓したという前提で、
性転換もの(通称TSF)かつ入れ替わりものという独特な世界観が構築された「X Change Alternative2」の魅力をとうとうと語りました。
同作に出演したみやぞーと共に、演じる上で内面は男性という状況が面白く、主人公の友人ポジションの男性との絡みでBLものへの興味まで抱いたと告白。
その後は「触手もの」としての強烈な印象と人体改造にまで至る強烈な描写が印象に残ったという「虐襲3」を語り、
「キッキングホース★ラプソディ」(ALcot)の自然な台詞回しが素晴らしいという演者らしい視点も提供。
幅広い語りが見られました。
みやぞーは企画内でヒロインという特別な扱いだったため自身が作品談義を行うとは思っていなかったといいつつ、
強い思い入れを持った「ランスシリーズ」(アリスソフト)へ匿名で投書した経験を語り始めます。
ランスシリーズは業界内において1989年から2018年までシリーズが続き、
どの作品にも顕著な遊戯性があることが特徴でした。
そのためコーサカ、舞元啓介も思い入れが強く、
一気に話が広がることに。
濃ゆいところまで踏み込みつつ肝心なところをぼかす語りすぎない参加者の采配も素晴らしく、
さくらみこへシリーズを紹介するような形で上手く魅力を説明していたのが印象的ですね。
エロゲー界のファイナルファンタジーというたとえは非常にわかりやすく的を射てたと思います。
話が広がりすぎたと判断したのか、みやぞーは自分の好きな作品の残り2つとして「闘神都市2」(アリスソフト)と「同級生2」(エルフ)に言及し、バトンを舞元啓介へ託します。
トリを飾ることになった舞元啓介は、ここで1本あえて選んだ作品として、
いつも好きだと語っているシナリオ(ストーリー)を重視した作品ではなく、
「超昂閃忍ハルカ」をチョイス。
実用的ながらストーリーにも魅力があふれる作品として紹介する傍ら、
バトルのたびにシーンがあることを魅力として猛プッシュ。
「(男性として)体力が持たない」という説明はまさにどういうゲームなのかがわかりやすい一言でしたね。
そして、いつも好きだと語っている作品「装甲悪鬼村正」(ニトロプラス)「BALDR SKY」(戯画)で満足し、
一旦足を洗おうとしたものの、
気がつけば「カミカゼ☆エクスプローラー」(クロシェット)に手を出し、
ヒロインがプレイヤーの名前をボイス付きで呼んでくれることが特徴の
「LOVELY×CATION2」(hibiki works・プレイヤーの名前を呼ぶシステムは「LOVELY×CATION」から)を購入したりした経験を語りつつ、
シナリオの完成度では先に上げた「装甲悪鬼村正」「BALDR SKY」が完成形に思えると自身の作品観を語りました。
その後はチャット欄のコメントを拾いつつ小ネタをはさみ、
業界の裏話などを垣間見つつ、
好きなヒロインと好きなシチュエーションという前半戦のお題を流す形で前半戦が終了しました。
こちらも今後の#Vエロゲ布教企画で聞きたいところです。
後半戦・エロゲ主人公になってコーサカが涙した理由とは?
ここからは参加者(ヒロイン役に専念するみやぞー除く)が用意した台本に従って朗読を行うメインパートへと移行します。
こちらは文字通り百聞は一見にしかずなので、基本的にシチュエーションや見どころについてのみまとめていきたいと思います。
ぜひ動画本編で各シチュエーションの魅力を堪能してみてください。
トップバッターはさくらみこ。
自分が主人公だったらという前提でまとめられたシチュエーションは、
エロゲー的にも、VTuber的にも王道な内容となっています。
自身の家である桜神社を舞台とし、
ぐうたらな自称エリート巫女という部分は彼女そのまま。
他VTuberの「自分の願望に合わせた舞台」とは大きく違って、
さくらみこらしさが満点な作品と言えます。
良くも悪くもオタク界隈で知られた要素であるゲロインのくだりはソレらしさ満点で、テンプレに近い流れでした。
フレンチ・キスのつもりがガッツリキスシーンになった想定外の熱演もあって、
配信中の舞元啓介、コーサカ含め皆聞き入っていたのが印象的でした。
続いてはたみーのシチュエーション。
民井(たみー)とコーサカが入れ替わってしまったという前提で、
コーサカ(外見は民井)と舞元啓介の関係が描かれるという、
配信的にはかなり強烈な流れが印象的です。
若干複雑なので整理すると、
画面上での登場人物は民井と舞元啓介、
中身はコーサカと舞元啓介、
となります。
ここは動画で見たほうが噛み砕きやすくなりますね。
同性間での仲の良さと異性間での気になる関係の距離感の違い、
気遣いのできる男への同性的な視点からのの一言が状況を大きく変えてしまうという展開、
外見に引っ張られる精神のゆらぎといった、
性転換もの特有の魅力も濃い目に挿入されています。
ともするとネタとして終わってしまいそうなシチュエーションでしたが、
前述の性転換ものらしい魅力、
そして「性転換で中身は男性の女性」という難しい部分を任された本職声優であるたみーはもちろん、
舞元啓介、コーサカ共にきっちり演じきったこともあり、
意外とありというコメントが流れるほどに好評を博していました。
3番手は8kbの原稿を渡してきたというコーサカの番。
8kbはテキストファイルに換算するとおおよそ4000文字~4500文字程度となります。
熱の入りようがわかりますね。
シチュエーションは学園ドラマ+ファンタジーをベースとした、
ファンタジー要素がボーイミーツガールとなるという、
エロゲーの王道の一つの流れを丁寧になぞっていくものでした。
自身の境遇を語るモノローグからして完成度が高くなっています。
強烈なインパクトを見せる悪友(舞元啓介が担当)、
サボりぐせのある主人公と、
彼の自由さに振り回されつつ世話する幼馴染(たみー担当)という布陣は、
エロゲーのみならず学園モノの典型的なパターンですね。
地元の話を絡めてストーリーを動かしつつ、
モノローグで少し深めに設定を掘り返した舞台をそのまま終わらせず次の展開に持ち込む筋運びは、
超常的な存在がその頂上さ故に堂々と自称するという流れ、
最終的に入りの文章と絡めたまとめに終わるという完璧な筆致を見せてくれます。
圧倒的な完成度の高さはチャット欄・出演者ともに盛り上げましたが、
そこで感極まったコーサカは涙声で感極まったと語り始めます。
エロゲーのシナリオライター(今回の企画のように話を書く職業)になりたかったというコーサカは、
自分の書いたセリフが2D画像に変換されつつ、
女の子に呼んでもらえることが想像以上に嬉しかったと涙ながらに語ります。
完成度の高さはかつての夢や勉強、
そしてもしかしたら夢破れた経験などが裏打ちしていたのでしょう。
本当にこの部分のクオリティは高かった。
文句なく本物のエロゲーの冒頭でした。
最後を飾るのは舞元啓介。
彼が最後に回ったのは今回の放送の取り仕切り役だったからというわけではないようです。
先日の台風が来た際に作業を行っていたところ、
落雷による停電で作業データ、
そしてPC環境そのものもクラッシュしてしまったようなのです。
また、彼は農業系VTuberです。
台風19号の上陸時にはツイッター上で視聴者に見の安全を守るように強く言いつつ、
自身の育てていた農作物を諦めると公言するなど、
ここ2ヶ月ほどの間に発生した台風災害の影響を大きく受けていることが伺えます。
作物がだめになると、その後は片付けなどの作業が待っています。
また、台風被害も広く吹きさらしに近いかたちの畑では大きく出るため、
この片付けの作業自体がかなりの激務になります。
あくまでも実家が農家をしている私の友人から聞いた話であるため、
舞元啓介とはまた環境は違うでしょうが、
台風被害の尾がかなり長かったことは想像に難くありません。
更に自身がVTuberとして目標にしていたスポーツの同時視聴配信も、
ラグビーワールドカップに後押しされる形で好評を博していました。
日本の予選リーグ突破時の配信では涙ながらに「こんな配信がしたかった」と語っていた彼がスポーツ配信で手を抜くとは思えず、
回せるリソースは同時視聴配信にもかなり回していたことでしょう。
更にこれらのプラスマイナスないまぜの出来事が立て続けに起こった影響か、
ここしばらくは体調を崩していたとのことで、
準備が出来る体力もなかったことが伺えます。
そんな中で仕上げてきたシチュエーションは、
学校の屋上で女友達(たみー)と星を見上げ、今までにない雰囲気になるというもの。
これもかなりテンプレに近いですが、名前呼びの距離感や、
ボイスも販売している舞元啓介とみあぞーの掛け合い等などきっちりまとまった内容になっていたのはさすがだと思いました。
前述のトラブル等の影響で、シチュエーション自体が4名中いちばん短く、
グラフィックも急遽用意したもの1つとなったものの、
小粒故にシンプルに味わえるシチュエーションとなった印象です。
シチュエーション終了後は舞元啓介、コーサカの「これは夢だ」という言葉が印象的でしたね。
一つ濃ゆいところとして、ヒロインが名前を呼んでくれるというのもキーポイントだったでしょう。
エロゲーあるあるとしてさくらみこが切り出した「ヒロインが主人公の名前を呼んでくれない」というのは、
ゲームリリース段階でプレイヤーの名前とは無関係にボイス収録が行われる関係上避けられない問題です。
そのため、プレイヤーは自分の名前を呼んでもらうために、
配信最後でコーサカが述べていた通り主人公の名前や呼び名が自分とかぶる作品を探したり、
「LOVELY×CATION」のような名前を呼ぶという特徴を持つ作品を探したりという努力が必要でした。
今回の企画ではリアルタイムで掛け合いをしつつ、声優さんのきっちりした演技で名前を呼んでもらえるというのは感慨深かったでしょう。
最後のあいさつでは、それぞれの思いの丈が詰まっています。
これだけでも布教のようは足りるのではないかというぐらい熱意と思いが乗ったコメントなので、
ぜひ見てもらえればと思います。
次回の#Vエロゲ布教企画が、今から楽しみです!
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